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富士山に登るなら、山小屋の予約が必要です。

2024年から、吉田口をはじめ全ルートで夜間のゲート閉鎖が実施されています。午後2時から翌朝3時まで五合目のゲートが閉まるため、山小屋に泊まらずに夜通し登る「弾丸登山」は、事実上できなくなりました。

つまり、山小屋の予約は「あったほうがいい」ではなく、「必須」になっています。

ところが、これが想像以上に大変でした。

予約開始日に即座に動いたものの、希望する条件(8月18日・ガイドなし・1泊2食)はすでに満室。4日間キャンセル待ちを続けて、やっと1泊分を確保しました。

この記事では、私たちが実際にやった「富士山・山小屋予約の全プロセス」をまとめています。登る時期の決め方から、ルートの選び方、山小屋の調べ方、予約争奪戦の戦い方まで。これから富士山を目指す方に、同じ苦労をしてほしくないので書きました。

この記事でわかること

  • 山小屋泊か日帰りか、どう判断する?
  • 吉田口を選んだ理由
  • 2026年、山小屋の予約はいつから?どこで?
  • キャンセル待ち攻略の実録

目次

  1. 登る時期を決めた
  2. ルートを吉田口に決めた
  3. 山小屋泊か日帰りかを決めた
  4. どの山小屋に泊まるか調べた
  5. 予約開始日を調べてしょうが即座に動いた
  6. ふたりでサイトに張り付き、しょうがキャンセルをつかんだ
  7. 持ち物・装備を揃えた
  8. 体の準備を開始した

1. 登る時期を決めた

富士山に登れる期間は、思っているよりも短いです。

吉田口の開山期間は7月1日〜9月10日ごろ。この約2か月半のあいだに、国内外から多くの登山者が集中します。

7月・8月・9月を比較すると、混雑状況や気象条件などさまざまなメリット・デメリットがあります。夏休みやお盆、家庭の事情など、登れるタイミングは人それぞれですが、私たちは8月18日(1泊2日)に決めました。

天気・気象混雑台風リスク
7月梅雨明けまで雨・雷雨のリスクあり比較的空いている低い
8月梅雨明け後で安定しやすいお盆(上旬〜中旬)が最混雑。お盆明けは落ち着く発生は多いが上陸は少なめ
9月天候が不安定になり始める空いている日本への接近・上陸が年間最多

7月は梅雨の影響で雨や雷雨のリスクが高く、天候が読みにくい時期です。また、家庭の都合で動けない事情もありました。

9月は混雑が落ち着いて魅力的ですが、台風が日本に最も接近・上陸しやすい月です(気象庁統計)。富士山は単独峰のため、台風が近づくと立っていられないほどの強風になります。開山終了の9月10日ごろも迫っており、日程の余裕もありません。

結果として選んだのが8月でした。そのなかでお盆の混雑ピークを過ぎた8月18日を選びました。梅雨明け後の安定した天気が期待でき、9月と比べると台風の直撃リスクも低い時期です。


2. ルートを吉田口に決めた

富士山には、登山ルートが4つあります。どのルートから登るかによって、アクセス方法も、道の難易度も、景色も変わります。

まずはルートの特徴を比較してみます。

ルート難易度山小屋数特徴
吉田口★☆☆最多登山者の約60%が選ぶ最人気ルート。山小屋・救護所が充実
富士宮口★★☆多い4ルート中最短距離。ただし急坂・岩場が多い
須走口★☆☆少ない緑豊かな登山道。下山時の「砂走り」が楽しめる
御殿場口★★★少ない最難関。距離・標高差・時間すべてが突出。中級者以上向け

私たちが選んだのは、吉田口です。

理由はいくつかあります。

アクセスのしやすさ

吉田口(富士スバルライン五合目)は、首都圏からのアクセスが4ルート中で最も便利です。

手段ルート所要時間
高速バス新宿 → 富士スバルライン五合目(直通)約2時間35分
電車+バス新宿 → 富士山駅(特急等)→ バス → 五合目約3時間
中央道 → 河口湖IC → 富士スバルライン → 五合目約2〜2.5時間

なお、登山シーズン中(7月上旬〜9月中旬)はマイカー規制があり、車で五合目まで直接入ることはできません。最寄りの駐車場からシャトルバスを利用する形になります。アクセスの詳細については、別記事でまとめる予定です。

登山前後の観光のしやすさ

富士吉田市周辺には観光スポットが充実しており、登山の前後にも楽しめます。登山だけで終わらない旅のプランが立てやすいのも、吉田口を選ぶ理由のひとつです。

夜の富士山に「人の字」が浮かぶ

吉田口ならではの景色があります。富士吉田の街や山中湖周辺から夜の富士山を眺めると、山小屋の明かりと登山者のヘッドライトが「人」の字形に浮かび上がります。吉田ルートと須走ルートの登山道が交差するかたちで光の筋が走るこの光景は、山の麓から眺めて初めて見えるものです。登山前夜や下山後に、富士吉田の街から空を見上げてみてください。登っている最中ではなく、麓に立つ人だけが見られる景色です。

初心者でも安心できる環境

吉田ルートは富士登山者全体の約60%が選ぶ最人気ルートで、山小屋の数も救護所の数も4ルート中最多です。はじめて富士山に挑戦する方にとって、万が一のときに助けを求めやすい環境は、安心感に直結します。


3. 山小屋泊か日帰りかを決めた

ルートが決まったら、次に考えたのは「日帰りにするか、山小屋に泊まるか」です。

まず、よく混同される「弾丸登山」について整理します。弾丸登山とは、夜間に五合目を出発し、山小屋に泊まらず夜通しで山頂を目指すスタイルのことです。2024年からのゲート閉鎖により、現在はこのスタイルで登ることは事実上できなくなっています。

ただし、昼間に出発して登頂・下山する日帰り登山は、弾丸登山とは別物です。ゲートが開いている時間内であれば、技術的には日帰りで登ることも可能です。

では、なぜ私たちは山小屋泊を選んだのか。日帰りをおすすめしない理由とあわせて説明します。

日帰りは体への負担が大きい

日帰りで登頂・下山まで行うと、1日の行動時間は10時間前後になることもあります。疲労が蓄積した状態での下山は、膝や足首への負担が大きく、転倒・怪我のリスクも高まります。また、短時間で一気に高度を上げることになるため、高山病のリスクも高くなります。

山小屋泊なら高度順応の時間が取れる

富士山の山頂は標高3,776m。平地に暮らす体は、この高さに慣れていません。山小屋泊の場合、7〜8合目(標高2,700〜3,400m付近)で一度体を休めることになります。この滞在時間が、体を高度に慣らすことにつながります。日帰りと比べると、翌朝の山頂アタック時に体への負担が軽減されます。

御来光を、ちゃんと見られる

山頂からの御来光は、富士登山の目的として挙げる方が多い体験です。日帰りでは、御来光を見るタイミングで山頂にいることが難しくなります。山小屋泊であれば、体力的に余裕を持って山頂で朝を迎えられます。

以上の理由から、私たちは迷わず山小屋泊を選びました。次の問題は「どの山小屋に泊まるか」です。


4. どの山小屋に泊まるか調べた

山小屋泊に決めたら、次は「どの山小屋に泊まるか」「どうやって予約するか」を調べました。

まず予約の流れを把握する

吉田ルートの山小屋は現在、ウェブ予約が基本です。電話での受付を行っていない山小屋がほとんどで、各山小屋の公式サイトから予約を進める形になります。

効率的な方法は以下の手順です。

ステップ方法
① 山小屋の全体像を把握する吉田口旅館組合の一覧ページで山小屋の場所・公式サイトをまとめて確認
② 空室を確認・予約する気になる山小屋の公式サイトで空室カレンダーを確認し予約
③ 満室だった場合空室お知らせシステムに登録 → 空きが出たらメールで通知が届く

「空室お知らせシステム」とは

やまたん(yamatan.net)には、満室の山小屋に「空室通知」を登録できる機能があります。希望の山小屋・日程を登録しておくと、キャンセルが出て空きが生まれた際に、メールで通知が届く仕組みです。何度もサイトを開いて確認し続けなくても、タイミングを逃しにくくなります。ただし、空きが出た瞬間に他の人も動くため、通知が来たらすぐに予約画面へ進むことが重要です。

プランの種類を把握しておく

予約ページを開いて気づいたのが、プランの種類が複数あることです。大きく分けると以下の3種類があります。

プランの種類内容備考
素泊まり寝床のみ。食事なし自分で食料を持ち込む必要あり
食事付き夕食・朝食が付く夕食はカレーが定番。朝食はおにぎりなど
ガイド付きツアー登山ガイドが同行するパッケージ料金が大幅に高くなる

ここで注意が必要です。山小屋の公式サイトによっては、素泊まり・食事付きと並んでガイド付きツアーのプランが掲載されているケースがあります。プランの違いを把握しないまま予約画面を進めると、意図せず高額なガイド付きプランを選んでしまうことになりかねません。予約前にプランの内容と料金をしっかり確認することをおすすめします。

料金の目安

プラン料金の目安(1人)
素泊まり8,000〜10,000円前後
1泊2食付き12,000〜15,000円前後
ガイド付きツアー各社によって異なる(数万円〜)

ここから始まったのは、想像をはるかに超える予約争奪戦でした。


5. 予約開始日を調べてしょうが即座に動いた

プランの全体像がわかったところで、次に調べたのは「いつから予約できるのか」です。

予約開始日は山小屋によって異なる

富士山の山小屋の予約は、一斉に始まるわけではありません。山小屋ごとに予約開始日・開始時刻が異なります。参考として、2026年の主な開始日は以下の通りです。

山小屋合目予約開始日時
鎌岩館7合目5月8日 10:00
七合目トモエ館7合目5月11日 0:00前後
鳥居荘7合目5月11日 8:00
御来光館8合5勺5月11日 12:00(ネットのみ・電話不可)
元祖室8合目5月16日 10:00
富士一館7合目5月17日 10:00

事前準備が必要だった

調べていくうちに、もうひとつ重要なことがわかりました。各山小屋の個別サイトからリンクされている予約システム「やまたん(yamatan.net)」は、アカウント登録が事前に必要です。予約開始日当日に初めてサイトを開いても、登録からやり直すことになります。予約開始前に必ず登録を済ませておくことをおすすめします。

しょうが予約開始日に即座に動いた

準備を終えて、しょうは鳥居荘の予約開始日である5月11日 8:00に合わせて予約を試みました。しかし、予約開始直後はウェブの回線が混雑し、サイトへの接続自体が困難な状態でした。人気の山小屋には同じ日・同じ時間を狙う登山者が集中するため、予約開始の瞬間から競争が始まっています。

初日から、希望の条件はすでに満室

予約開始日にしょうが確認したところ、希望する条件――ガイドなし・1泊2食付き・8月18日――は、蓬莱館・太子館・元祖室など複数の山小屋ですでに満室でした。わずかに残っていた空きは、別の日付か、ガイド付きプランのみ。希望の条件では、事実上どこも取れない状態でした。

条件や日程にこだわりがある場合はなおさら、予約開始日に動くことが重要です。希望の条件が決まっているなら、開始日を調べて、その日に動く。それに尽きます。


6. ふたりでサイトに張り付き、しょうがキャンセルをつかんだ

希望の条件では満室。残る手段は、キャンセルが出るのを待つことだけでした。

キャンセル待ちの日々

しょうは仕事の合間にスマホで各山小屋のサイトを確認し続けました。キャンセルが出た瞬間に予約しなければ、すぐに他の人に取られてしまいます。隙を見てサイトを開く日々が続きました。

5月15日 鳥居荘のキャンセルに滑り込んだ

5月15日、しょうが鳥居荘のキャンセル枠を発見し、即座に予約を完了しました。

鳥居荘は吉田口7合目のなかでも標高が高い本7合目(標高約2,900m)に位置します。私たちが希望していた条件に近い山小屋で、キャンセルが出た瞬間に飛びつけたのは、根気強く確認し続けた結果でした。

プランはガイドなし・1泊2食付きを選択

予約の際に選んだのはガイドなし・1泊2食付きのプランです。食事付きにすることで、自分で食料を持ち込む必要がなくなり、荷物を大幅に減らせるメリットもあります。富士山では標高が上がるほど荷物の重さが体力を奪います。食事付きプランはその点でも合理的な選択でした。

鳥居荘を確保した時点で、ひとつ大きな山を越えました。山小屋は「泊まれればいい」ではなく、翌朝の行動計画とセットで選ぶことが重要です。標高が高い山小屋ほど、御来光渋滞が始まる前に山頂へ向かえる余裕が生まれます。


7. 持ち物・装備を揃えた

山小屋泊の富士登山では、日帰りとは異なる準備が必要です。泊まりならではのアイテムも含めて、私たちが実際に用意したものをまとめます。

基本装備

アイテム重要度備考
登山靴★★★必須。スニーカー・ランニングシューズは不可
レインウェア(上下)★★★天候が急変することがある。必ず持参
ヘッドライト★★★山頂アタックは深夜〜早朝。必須
手袋★★★山頂付近は岩場が続く。素手では危険
防寒着(フリース等)★★★山頂付近は夏でも5℃以下になることがある
ネックウォーマー・ニット帽★★☆頂上付近の寒さ対策に重宝する
登山ポール★★☆特に下山時の膝への負担を軽減できる

登山靴は「あって当然」のものではない

富士登山で特に重要なのが登山靴です。

以前、ランニングシューズで富士山に登ったことがあります。結果、1回の登山で靴に穴が空きました。富士山の登山道は火山岩や砂礫が多く、一般的なスニーカーやランニングシューズでは底が耐えられません。足首のサポートも不十分で、捻挫のリスクも高まります。

登山靴は「あれば便利」ではなく、富士登山では必須の装備です。

※登山靴の選び方・おすすめモデルは別記事で解説予定です。

ヘッドライトは必ず専用品を

山頂アタックは深夜から早朝にかけて行います。スマートフォンのライト機能では光量が不足し、電池消耗も早いため危険です。登山用のヘッドライトを必ず用意してください。

レインウェアは上下セットで

富士山は天候の変化が激しく、晴れていても突然雨が降ることがあります。上着だけでなく、上下セットのレインウェアを用意してください。

登山ポールは下山で真価を発揮する

しょうは登山ポールを持参します。登りでのバランス補助はもちろん、特に下山時の膝への負担軽減に大きな効果があります。富士山の下山道は砂礫の急斜面が続くため、ポールがあると安心感が違います。だいは今回の登山に向けて購入を検討中です。

山小屋泊ならではの持ち物

アイテム理由
耳栓相部屋での睡眠のため
着替え(最小限)山小屋内での快適さのため
現金(小銭多めに)山小屋内の支払いのほか、登山道のトイレは1回200〜300円・現金のみが基本。100円玉を多めに用意しておくと安心
モバイルバッテリー充電設備がない山小屋もある

8. 体の準備を開始した

山小屋の予約が取れたら、次のステップは体の準備を開始することです。

装備を揃えるだけでは不十分です。富士山は標高3,776mの高山であり、体そのものを登山に対応できる状態に整えておく必要があります。

準備のポイントは大きく3つです。

① 高山病への備え

高山病は体力や年齢に関係なく、誰にでも起こりえます。急激な高度上昇を避け、十分な水分補給を心がけることが基本的な対策です。

② 脚力・体力の底上げ

富士山の登山は登り5〜6時間、下り3〜4時間が目安です。日常的にウォーキングや階段の上り下りを取り入れておくことが、当日の疲労軽減につながります。

③ 当日までの体調管理

登山前日の睡眠不足は、高山病のリスクを高めます。登山当日までの体調管理も、準備のうちです。

体づくりの具体的なトレーニング方法や、高山病への詳しい対策については、別記事で詳しく解説する予定です。


まとめ

この記事では、私たちが実際に体験した「富士山・山小屋予約の全プロセス」をお伝えしました。

振り返ると、8つのステップすべてが予約を取るためだけでなく、安全に・確実に御来光を見るための準備でした。

この記事で伝えたかったこと

ステップポイント
登る時期を決める梅雨が明け、台風も少ない8月上旬〜中旬がおすすめ
ルートを決める吉田口は初心者〜経験者まで対応。アクセスも最良
御来光を見るなら山小屋泊が必須山頂で朝を迎えるには、山小屋泊でなければ難しい
プランを把握するガイドなし・食事付きを事前に理解してから予約画面へ
予約開始日を調べる開始日は山小屋ごとに異なる。やまたんの事前登録も必須
キャンセル待ちに備える希望の条件では開始直後から激戦。粘り強く待つ
装備を揃える登山靴・ヘッドライト・手袋・レインウェアは必須
体の準備を開始する予約が取れたその日から、体づくりをスタートさせる

一番伝えたいこと

予約開始日を必ず確認して、その日に動く。

これに尽きます。「そのうち取ればいい」では、希望の条件の山小屋は取れません。私たちがそれを身をもって体験しました。

富士山を目指しているすべての方に、この記事が少しでも役立てばうれしいです。


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本記事で触れた高山病・体調管理に関する内容は一般的な情報提供を目的としています。体調に不安がある場合は、事前に医療機関にご相談ください。

規制情報は執筆時点(2026年5月)のものです。最新情報は必ず富士登山オフィシャルサイトでご確認ください。