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✅ 結論:高尾山〜城山は「富士登山の練習・第一歩」にちょうどいい
- 往復約11km。低山ながら「長く歩き続ける体力」をしっかり試せます
- 登りと下りで道を変えられ、疲れたらケーブルカーで降りる逃げ道もあります
- 私たちは実際に、下山中の雨でこの逃げ道を使いました。「引き返せる計画」はそれ自体が安全装備です
- 序盤の歩きやすい道こそペースが上がりすぎます。時計でペースを確認しながら歩くのがおすすめです
この記事は、以前公開した「富士登山の練習に登りたい山5選」の実践編・第1弾です。5選のうち、いちばんやさしい高尾山に、私たちが実際に登ってきた記録をまとめました。
この記事でわかること
- 高尾山〜小仏城山 往復コースの詳しいルートと当日の様子
- 天気が崩れたとき「登る山を変える」という判断をどう進めたか
- 理学療法士として実践した、バテない・膝を痛めないための工夫
目次
なぜ塔ノ岳ではなく高尾山だったのか
実はこの日、私たちは丹沢の塔ノ岳(とうのだけ・1,491m)に登る予定でした。塔ノ岳は、富士登山本番に最も近い負荷をかけられる山として、富士登山の練習に登りたい山5選でも、いちばん本番に近い(=難しい)⑤番に選んだ山です。
ところが直前になって天気が崩れ、丹沢には雷注意報まで出てしまいました。
ここで私たちが考えたのは、「中止」ではなく「行き先を変える」という選択肢です。日付は変えず、天気の比較的安定していた高尾山エリアに切り替えました。塔ノ岳は中止ではなく、後日あらためて登る計画です。
「予定していた山をあきらめる」のは、正直なところ悔しい判断です。しかし、雷は山の中では避けようがなく、無理をして得られるものはありません。登る山を変えても、「長く歩く練習」という目的は達成できる——そう考え直すと、気持ちの整理がつきました。
梅雨どきの登山では、この「山を変える判断」が一番悩ましいところだと思います。私たちの判断の流れが、同じように悩む方の参考になればうれしいです。
今回歩いたコース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ルート | 高尾山口駅 →〔稲荷山コース〕→ 高尾山頂 → 一丁平 → 小仏城山〔折り返し〕→ 高尾山頂 →〔1号路〕→ 高尾山駅(ケーブルカーで下山) |
| 距離 | 約11.1km(実測。事前のヤマレコ計画では約12.4km) |
| 累積標高 | 登り約741m/下り約753m(実測・出典:YAMAP) |
| 行動時間の目安 | 約6〜7時間(休憩を含む・はじめての方向けの目安) |
| コース形態 | ピストン(同じ道を往復する登り方) |
| 難易度 | ★★☆☆☆(道はやさしいが、距離があり歩きごたえは十分) |
| アクセス | 京王線「高尾山口」駅から徒歩すぐ。車の場合は駅周辺に駐車場あり(私たちが停めた平日は1日500円でした) |

のぼり:稲荷山コース
高尾山には登山道がいくつもありますが、今回選んだのは、尾根づたいに登る稲荷山(いなりやま)コースです。2023年に改修工事が終わっており、木の階段や木道が思っているよりもよく整備されていました。一方で、木の根や岩の出た”登山らしい”区間も残っていて、整備された道と自然のままの道の両方を歩ける印象です。高尾山のコースの中では体力を使う道で、一定のペースを保って登る練習にぴったりです。途中にある「あずまや(見晴らし台)」が、ちょうど中間地点の目安になります。

高尾山頂から城山へ:奥高尾
高尾山の山頂から先は、「奥高尾(おくたかお)」と呼ばれる縦走路(山と山をつなぐ尾根道)に入ります。観光客でにぎわう山頂を抜けると、道は一気に静かになります。もみじ台・一丁平と、見晴らしの開けるポイントをこえて、小仏城山(こぼとけしろやま・670m)へ向かいます。
くだり:1号路
帰りは、のぼりとは道を変えて1号路を歩きます。こちらは舗装された表参道で、途中に薬王院(お寺)があります。ケーブルカーの駅も通るため、「疲れたり天気が崩れたりしたら、ケーブルカーで降りる」という逃げ道を持てるルートです。今回、この逃げ道が実際に役立つことになります。
理学療法士から:なぜこのルートにしたか
のぼりと下りで、あえて別の道を選びました。下りは膝への負担が大きいため、段差の少ない歩きやすい1号路を選ぶことで、脚をいたわりながら降りられます。同じ道を戻るより景色に変化があって飽きない、という利点もあります。
なお、沢ぞいの6号路は雨のあと滑りやすく、混雑する時期は登り専用になるため、今回は使いませんでした。
当日の記録
当日は、ヤマレコで立てた山行計画(高尾山口8:00発 → 稲荷山 → 高尾山頂 → 一丁平 → 城山で折り返し → 1号路で下山)をベースに歩きました。
平日だったこともあり、登山客はかなり少なく、「観光地の高尾山」のイメージとはまったく違う、静かな山歩きになりました。人の多さが気になる方は、平日を狙うのもひとつの方法です。
計画(ヤマレコ)と実際(YAMAPの記録)を比べると、次のようになりました。
| 計画 | 実際(YAMAP記録) | |
|---|---|---|
| 距離 | 約12.4km | 約11.1km |
| 全体の行動時間(休憩込み) | 約6時間50分 | 約4時間34分 |
| スタート〜城山(折り返し)まで | 約3時間56分 | 約2時間53分 |
主な通過時刻(実測)は次のとおりです。
- 清滝駅 出発 … 7:41
- 稲荷山 … 8:22
- 高尾山 … 9:12(山頂で約20分休憩)
- 一丁平 … 10:09
- 小仏城山(折り返し)… 10:34
- 高尾山 … 11:38
- 高尾山駅(ケーブルカー乗車)… 12:16
序盤:ペースが上がりすぎていた
歩き始めてすぐに気づいたのは、思っているよりもペースが速くなっていたことです。登山の始まりは、気持ちが高ぶっていて体力も十分にあります。さらに、整備されて歩きやすい道が続くと、体が勝手にスピードを上げてしまいます。
序盤の稲荷山コースは勾配がしっかりあるため、このペースのまま行けば後半に響くと判断し、意識してペースを落としました。
とはいえ、結果を見ると、私たちは計画(約6時間50分)よりかなり速い、約4時間34分で歩き終えていました。これにはいくつか理由があります。ひとつは天気です。午後の雨を警戒していたため、大休止は昼食での1回だけにとどめ、小休止も無理のない範囲で少なめにしました。もうひとつは、登山の経験と、理学療法士としての歩き方・休み方の工夫です。だらだらと歩き続けず、休むときはしっかり休む——このメリハリを意識したことで、速いペースでも体に無理を残さず歩き切ることができました。
ただ、大切なのはスピードそのものではありません。「無理なく終えられること」が一番の目的です。はじめて挑戦する方は、この記録の時間を目標にする必要はまったくありません。ご自身とお子さんの体力に合わせて、休憩をたっぷりとりながら歩いてください。
城山山頂:茶屋はまだ開いておらず、小休止のみ
小仏城山の山頂には茶屋がありますが、私たちが到着した時間帯はまだ開いていませんでした。ここでは長居はせず、小休止だけとって折り返しました。茶屋を目当てにする場合は、営業時間を事前に確認しておくと確実です。
下山中に雨。計画していた「逃げ道」を使った
高尾山まで戻り、1号路を下っている途中で、雨が降り始めました。
ここで私たちは、歩いて下りきるのをやめ、ケーブルカーで下山することにしました。じつはこの判断、当日その場で思いついたものではありません。計画の段階から「天気が崩れたらケーブルカーで降りる」という逃げ道を用意していて、それをそのまま実行しただけでした。山頂側の高尾山駅から乗車し、5分ほどで山麓のケーブルカー清滝駅に到着しました。

雨の中で判断を迫られると、注意が足元や濡れた荷物に取られて、冷静に考える余裕が減ります。「こうなったら、こうする」をあらかじめ決めておくと、当日は迷わずにすみます。予定変更に「悔しさ」ではなく「計画どおり」という感覚がともなうのは、想像以上に心強いものでした。
理学療法士として意識したこと
ここからは、今回の山行で私たちが実践した「バテない・膝を痛めない」ための工夫を紹介します。
「歩きやすい道はラク」とは限らない
よくある思い込み:整備されたきれいな道は、体にやさしい。
実際に歩いて感じたこと:歩きやすい道ほど無意識にペースが上がり、序盤で体力を使いすぎてしまう。
疲れは、急な坂だけでたまるものではありません。「歩きやすさ」そのものが、オーバーペースの引き金になります。道がやさしいときほど、自分のペースを疑ってみてください。
ペースは感覚ではなく、時計で確認する
「無理のないペースで歩きましょう」とよく言われますが、初めてのうちは、その「無理のないペース」がどれくらいなのか分からないと思います。
私たちが実践したのは、事前に区間ごとの通過予定時刻を決めておき、時計と照らし合わせながら歩く方法です。今回はヤマレコの山行計画がその物差しになりました。「予定より早すぎる」と気づけたのも、感覚ではなく時計を見ていたからです。
ペース配分と休憩の取り方については、登山で差がつく休み方|疲れを残さない小休止・大休止の使い分けでも詳しく解説しています。
下りの階段は「足音」がひとつのサイン
下りで意識したのは、足音をなるべく立てずに降りることです。
「ドスン」と音がする着地は、そのぶん大きな衝撃が体に伝わっているサインです。音が小さくなるように意識して降りると、着地がやわらかくなり、膝への負担をやわらげることにつながります。特別な技術ではなく、「音を聞く」だけで今日から試せる方法なので、下りが不安な方はやってみてください。

下りの膝への負担が気になる方は、トレッキングポール(登山ストック)を使うと、着地の衝撃を腕にも分散できます。とくに長い下りや、段差の続く道で効果を感じやすい道具です。
下りで膝を守る足の運びは、知っておくと一生使える技術です。より詳しい下山の歩き方は、理学療法士しょうのnoteでも解説しています。→ 「下山で膝が痛い人へ|理学療法士が教える”疲れにくい歩き方”」(有料note・無料公開部分あり)
休憩で長く座り込みすぎない
休憩のたびにどっかりと座り込むと、再び歩き出すときに体が重く感じられることがあります。私たちは、短い休憩は立ったまま、長めの休憩でも座り込みすぎないように意識しました。
足元は「自分で選ぶ」
前日までの雨で、ところどころにぬかるみがありました。なんとなく歩くのではなく、一歩ごとに足を置く場所を自分で選ぶと、スリップや無駄な踏ん張りを減らせます。地味な工夫ですが、こうした小さな積み重ねが、下山後の疲労の差となってあらわれます。
新しい登山靴を試す場所として
今回の山行には、もうひとつ目的がありました。新調したミドルカット(足首まで覆う高さ)の登山靴の試し履きです。

富士登山の練習に登りたい山5選で、「高尾山は本番で使う装備を試す場所にぴったり」と書きました。今回はそれを自分たちで実践した形です。往復約11kmを歩き、雨にも降られましたが、靴ずれや違和感はなく、問題なく履けることが確認できました。
本番の富士山で、初めての道具を使わない。これは装備選びで一番大切にしたい原則です。新しい靴は、高尾山のようなやさしい山で一度履いてから本番に持っていくと、安心感がまったく違います。
私たちが履いたのはモンベルの登山靴ですが、モンベルは直営店での販売が中心で、ネットでは在庫が安定しません。ネットで手に入りやすい入門者向けのミドルカットとしては、定番のキャラバンなどがあります。足になじませる時間を考えて、本番の1〜2ヶ月前には用意しておくと安心です。
富士登山にどうつながったか
今回の山行で得られたものを、富士登山の準備として整理すると次のとおりです。
| 試したこと | 結果 |
|---|---|
| 長く歩き続ける体力 | 往復約11kmを歩ききれた |
| ペース配分 | 序盤の上がりすぎに気づき、修正できた |
| 装備テスト | 新しい登山靴を本番前に確認できた |
| 天候判断 | 「山を変える」「乗り物で降りる」を実地で経験できた |
富士登山は、標高こそ特別ですが、必要になる力の多くは低山で練習できます。体づくりの全体像は富士登山、今からでも間に合う|残り1ヶ月の体づくりと持ち物リストにまとめています。
そして、今回登れなかった塔ノ岳には、あらためて挑戦する予定です。その記録も、この実践編シリーズで報告します。
本当は、富士山が見えるコースです
ここまで練習の話を中心に書いてきましたが、最後にひとつ、正直な心残りがあります。
このコースは、本来は眺望が魅力のルートです。晴れた日には、高尾山の山頂や一丁平の展望台から、富士山を望むことができます。富士登山を目指して練習する山から、目標である富士山そのものが見える——このコースならではの楽しみです。
しかし、当日はあいにくの曇り空で、富士山はまったく見えませんでした。静かな尾根道を歩けたことも、雨の判断を経験できたことも大きな収穫でしたが、「ここから富士山が見えたら、練習の励みになっただろうな」という気持ちは残りました。
だからこそ、次回は晴れの日に登りたいと思っています。一丁平から富士山を眺めるところまで歩けたら、この実践編の続きとして報告します。
まとめ:計画に「逃げ道」があると、山はもっと安全になる
高尾山〜城山の往復約11kmは、「観光の高尾山」とはひと味違う、歩きごたえのある一日でした。富士登山に向けた最初の練習として、体力・ペース配分・装備の3つを一度に試せる、期待どおりのコースだったと思います。
そして、今回一番お伝えしたいのは、コースそのものよりも、「逃げ道を含めて計画する」という考え方です。山を変えた判断も、ケーブルカーでの下山も、事前に決めてあったからこそ迷わず実行できました。完璧に歩ききることよりも、状況に合わせて計画どおりに「引く」ことができた——私たちにとって、それがこの日一番の収穫でした。
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本記事の内容は、私たちの実体験と理学療法士としての知見に基づいていますが、体調や体力には個人差があります。体調に不安がある場合は専門家・医療機関にご相談ください。